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「昭和の匂い」
4年生の時、不眠症に悩まされた。原因はある日何気なく観てしまったテレビドラマで、かつて実際に起った誘拐殺人事件をモデルにした実録物だった。犯人役の薄気味悪さがあまりにもリアルで瞼から離れなくなり、まるで永遠に『明けない夜』にとり残されたかのような恐怖感と孤独感に連夜のように襲われた。今だから言えるけど、しばらくの間母に添い寝してもらってようやく眠れるようになった。危うくトラウマになりかけた恐怖の殺人犯を演じていたのが泉谷しげるだと知ったのは、もっとずっと後になってからだ。5年生の時、『ジョン・レノン,ニューヨーク』で射殺!というニュースで世の中が大騒ぎになった。でも、洋楽とはとんと無縁の生活をしてきた少年には、初めて知る丸眼鏡のガイジン歌手の死が、少し前に死んだ日本のソーリダイジンと同じかそれ以上に騒がれることがどうにもピンとこなかった。「いい歌を歌っていたのになぜ殺されるのか?」ってことも理解不能だったし、妻の名が「オノ・ヨーコ」っていう日本語みたいな響きだったことも事態をさらに飲み込み難くさせた。「イマジン」を聴きながら涙を流したのは、もう少し後になってからだ。
甲子園にサイレンの音が響き渡る8月は、なんとなく「昭和の匂い」がする季節だ。その匂いは、とても懐かしく、そして、ほんの少しきな臭い。
![]() JACROW#15
■日程:8/25(木)〜8/28(日) |
![]() 映画『ジョン・レノン,ニューヨーク』
■公開日:8/13(土)〜 |

















